アルコール広告の強制視認性とは?【3年で縮小傾向】

社会

精神保健福祉士になる以前から、アルコール広告について多少の違和感がありました。

そんなときに特定非営利活動法人ASK(アスク)という団体の、アルコールの交通広告に関する記事を目にしてから自分の中で問題意識が高まりました。

記事を読んでからはアルコール広告が自然と目に付くようになり、日常的にこんなに広告に触れているのかと実際驚きました。

精神保健福祉士として、アルコール広告の強制視認について考えました。

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交通広告の自粛を求める要望書

特定非営利活動法人ASKは、アルコールや依存性薬物などの問題を予防に取り組んでいる団体です。

私が拝見したのはこちらの記事です。

交通広告の全面自粛を含む抜本的な対策を求める要望書を提出しました。

特定非営利活動法人ASK

内容としてはビール酒造組合に対して提出された「交通広告の全面自粛を含む抜本的な対策を求める要望書」になります。

要望書の中で、酒類の交通広告は意図せず目に飛び込む「強制視認性」が強いとして指摘されていました。

駅・電車などは極めて公共性が強い場であり、鉄道利用者には20 歳未満や健康上の理由で禁酒・断酒中の人、お酒を飲めない体質の人もいます。

年齢の規制があり、健康問題・社会問題を引き起こす側面を持つ酒類に、交通広告はふさわしくないというのが大まかな主張です。

「強制視認性」という聞きなれない言葉が出てきましたが、意図せず目に飛び込むということで納得しました。

私がこれまでアルコール広告で問題と感じていたのは、アルコール依存症者の視点が考慮されているようには思えない点でした。

アルコール依存症は精神的・身体的なダメージが大きく、治療に結びつかなければ将来的に取り返しのつかない事態にもなり得ます。

回復や治療を続けている方にとって強制視認が与える影響はけしていいものとは思えません。

しかし、悪い影響を受けるのは決してアルコール依存症の方たちだけではないと、記事を読んだことで改めて認識しました。

アルコール広告に規制は必要?

このような広告が許されるお国柄として、日本がお酒に寛容な面があることは否めません。

というのも、日本は公共の場での飲酒が禁止されていません。

ビーチや公園など、飲酒禁止のルールをもうけているところはありますが一部にとどまります。

一方、アメリカなど公共の場で飲酒が禁止されている国が多いのも事実です。例えばハワイのビーチでも、当然飲酒は禁止されています。

お酒にいろいろな楽しみ方があっていいと思いますが、強制視認の広告は見直されるべきだと思います。

2024年3月追記(3年後)

最初にこの記事を書いてから3年が経ちました。

当時、問題提起されていた鉄道の巨大広告などは、私が知る限りは姿を消しました。人々の意識が少しずつ変わってきたのでしょうか。

この間の変化はまだあり、ノンアルコール飲料の充実と低アルコール飲料が登場しました。

さらには、アルコール度数の高さを売りにしたストロング系酎ハイの販売縮小や撤退の動きが各種メーカーであります。

ストロング系の危険性は以前から精神科医によって指摘されたきたところで、健康に配慮した販売縮小はいい流れだと思います。