ひきこもり支援と8050問題について考えました。
8050問題はいわばひきこもりの高齢化です。親世代を支援する高齢者支援者の介入によって、家庭内の50代のひきこもりの子の存在が明らかになるケースがあります。
しかし8050問題の実態はつかめていないのが実際です。
家庭内のことなので、本人や家族が困ってどこかに相談しない限り問題が明らかになりづらいという側面があります。
そもそも8050問題の成功事例や着地点について語られることはあまりありません。
現時点で思うところをまとめました。
ひきこもり支援市町村プラットフォームの設置
国は2021年度末までに、ひきこもり相談窓口の明確化や、支援体制構築のための市町村プラットフォームの設置を自治体に求めています。
現在でも自治体窓口でひきこもりに関する相談はできますが、その役割を担う窓口は統一されていません。
具体的には、こころの健康問題として保健所が窓口となっているところ、就労支援とセットで福祉部門が窓口となっているところなどがあります。
あるいは思春期・青年期を対象として児童・青少年部署が窓口となっているところもあるようです。
国が求めるひきこもり支援、市町村プラットフォームは対象者の年齢を定めておらず、すべての世代のひきこもり相談を可能にすることとされています。
ひきこもり支援において、年齢問わず一手に引き受ける窓口とは、じつは難しいように私には思います。
なぜならひきこもっている当事者の世代によって、支援課題が変わってくるからです。
仮に当事者の年代が同じでも、ひきこもり期間やメンタルヘルスの状態によって支援の方向性や関わり方は大きく異なります。
10代の思春期ひきこもりと30代のひきこもり、50代以降の中高年ひきこもりでは支援の仕方が異なるのはある意味当然のことです。
中高年ひきこもり
おおよそ30代、40代のひきこもり支援では社会復帰や就労が一つの着地点になることが多いです。
そのため、厚生労働省の委託事業である地域若者サポートステーション(通称サポステ)も仕事に就いていない15歳から49歳までを対象に、おもには就労支援を目標に機能しています。
一方50代以降のひきこもり支援の共通認識、共通課題はあまり語られていません。
8050問題では、親亡き後の本人の生活を考えるため、まずは家庭の債務整理や資産状況の把握などが浮かびます。
さらに中高年ひきこもりの支援は、若者に比べると使えるサービスやできることが限られることが考えられます。
若い世代のひきこもりで、ひきこもり当事者(本人)が支援者の関わりに対して支援開始当初は拒否的でも、家族と細く長くつながりつつ本人の関心が外に向くタイミングを待つことがあります。
そのような支援方法は中高年ひきこもりにもあてはまるのでしょうか。
中高年ひきこもりのニーズや実態がつかめていないため何といっていいのかわかりません。
いつのまにか8050問題という言葉だけが広まり、関わり部分の共通の認識はまだ形成途上のように思われます。
当事者のニーズが表出しにくく、実態が見えないなかで考えるのは難しいですが、まずは支援がいい形で終結した事例や選択肢についてもっと語られることが必要だと思います。