【精神科の入院形態】任意入院と医療保護入院について解説【令和6年4月以降】

精神保健福祉法

精神科の入院形態にはいくつか種類があります。

今回は「任意入院」と「医療保護入院」について、令和6年4月以降の変更点をふまえて解説します。

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原則は任意入院

任意入院とは言葉のとおり、本人の同意による入院です。

原則としては本人の意思によって入院治療が行われる必要があります。

また任意入院の場合は開放環境が原則です。

開放環境と言うのは、自由に出入りができる環境ということです。

開放環境ではないのが閉鎖病棟にあたります。

原則は開放環境ですが、本人が閉鎖病棟への入院に同意した場合にはその限りではありません。

ただし、閉鎖病棟に本人の意思で入ったという同意書を必ず書面で残しておく必要があります。

また任意入院は本人の意思でいつでも退院することが可能です。

いつでも自分の意思で退院できる、というのが原則ではありますがその際に精神保健指定医が診察をして、入院の継続が必要と認めた場合に72時間以内に限り退院の制限をすることができます。

医療保護入院【本人の同意が得られない場合】

精神保健指定医の診察の結果、入院が必要と認められた患者について、本人の入院の同意がどうしても得られない場合に、家族等のうちいずれかの者の同意による入院をいいます。

「家族等のうちいずれかの者」というのは配偶者、親権を行うもの、扶養義務者および後見人または保佐人のことをいいます。

おじ・おば・甥・姪は家庭裁判所で扶養義務者としての選任を受けている場合に同意者として認められます。

ただし、患者に対して虐待等を行った者については同意者から除外されます。

令和6年4月以降の変更点

入院期間の法定化

医療保護入院の入院期間は、入院から6カ月を経過するまでは3カ月以内とされます。入院から6カ月を経過した後は更新できる入院期間は6カ月以内とされます。

入院期間を更新した場合には、「医療保護入院者の入院期間更新届」を作成します。

従前の医療保護入院者定期病状報告届は廃止になりました。

入院時または入院期間の更新に際する家族同意

入院時だけではなく、入院期間の更新時においても家族等の同意が必要となりました。

さらに入院時または入院期間の更新時に、家族等が同意・不同意の意志表示を行わない場合に、市長村長に入院の同意を依頼することが可能になりました。

入院期間の更新においては、一定の条件を満たした場合は家族等のみなし同意が適用されます。

更新に際し、病院は家族等に医療保護入院の期間の更新同意を求める通知をします。

通知から2週間後の期限までに、家族から回答書面が届かなかった場合は、同意があったものとみなすことができますが、回答期限は入院期間満了日以内でなければなりません。

またみなし同意の条件としては、入院中に通知先の家族と2回以上連絡がとれていることなどが含まれます。

入院者訪問支援事業

令和6年4月から入院者訪問支援事業が都道府県等の任意事業として位置づけられました。

実施主体は都道府県および指定都市、特別区、保健所設置市です。

市町村同意による医療保護入院者を対象に、本人の希望に応じて、傾聴や生活に関する相談、情報提供等を行う訪問支援員を派遣する事業です。

都道府県等が研修を実施し、派遣する訪問支援員を選任します。なお訪問支援員に特段の資格は必要とされていません。

家族が同意・不同意の意志表示を行わない場合に、市長村長に入院同意の依頼ができるようになったことにより、今後入院治療を要する患者が少しでも早く医療につながる可能性が期待できるのではないかと考えています。