医療保護入院者退院支援委員会の開催について解説【令和6年4月以降】

精神保健福祉法
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医療保護入院者退院支援委員会は、医療保護入院が本人の同意を得ることなく行われる入院であることをふまえ、人権擁護の観点から可能な限り早期治療・早期退院ができるようにと開催の運用が定められたものです。

この記事では、令和6年4月以降適用の医療保護入院者退院支援委員会の詳細について解説します。

医療保護入院者退院支援委員会の目的

医療保護入院者退院支援委員会(以降「退院支援委員会」)の審議は、入院期間の更新に際して必要な条件となり、その目的は退院に向けた取組みを推進するための体制を整備することにあります。

医療保護入院者退院支援委員会の対象者

退院支援委員会の対象者は、入院時または入院期間更新時に定めた入院期間の更新が必要な医療保護入院者です。

退院支援委員会は、入院期間満了の1カ月前から当日までの間に行うこととされます。

引き続き医療保護入院が必要な場合は、家族等に入院期間更新の同意を求める通知をします。

家族等から同意の意思表示があった場合は入院期間が更新されます。

医療保護入院者退院支援委員会の出席者

退院支援委員会の出席者は以下のとおりです。

① 主治医
② 看護職員(担当する看護職員の出席が望ましい)
③ 退院後生活環境相談員
④ ①~③以外の病院管理者が出席を求める病院職員
⑤ 当該医療保護入院者
⑥ 家族等
⑦ 地域援助事業者そのほか当該医療保護入院者の退院後の生活環境に関わるもの

①から④までは参加が必須とされています。

⑤の入院者は、本人が出席を希望する場合です。

ただし、退院支援委員会の趣旨が本人の退院後の生活環境を調整することであることに鑑みて、本人には開催日時およびその趣旨について事前にていねいに説明し、出席の希望について本人の意向をよく聞き取ることとされています。

医療保護入院者退院支援委員会の開催方法

開催にあたっては十分な日にちの余裕をもって、対象の医療保護入院者に規定の様式(別添様式1「医療保護入院者退院支援委員会開催のお知らせ」)にて通知します。

退院支援委員会で審議する内容は次のとおりです。

① 医療保護入院者の入院期間の更新の必要性の有無およびその理由
②入院期間の更新が必要な場合、新たな入院期間および当該期間における具体的な取組み

審議結果は、既定の様式(別添様式2「医療保護入院者退院支援委員会審議記録」)によって作成します。

審議終了後は、すみやかに審議結果を本人ならびに(病院外の)出席者に審議記録の写しを通知します。また、審議記録は更新届に添付して提出することとされています。

変更の内容など

退院支援委員会は医療保護入院者を対象として課されるものですが、今回の改正で、退院後生活環境相談員の選任が措置入院者にも義務化されました。

また退院後生活環境相談員として有すべきいずれかの資格に新たに公認心理士が追加されています。

退院支援委員会の出席者については、前述①~④の者については参加必須の文言が追加されています。

入院期間の更新については、家族等の同意を得ることが新たに定められました。

また、従前の定期病状報告書は廃止され、新たに「医療保護入院者の入院期間更新届」を作成することとなりました。

改正点で細かいところはまだありますが、目についたのはおおよそこのあたりです。

気付いたところとしては、これまで運用されていた厚生労働省の通知文から「入院継続」という言葉が姿を消し、「入院期間の更新」という表現に置き換わっています。

医療保護入院の家族等の同意は、これまでは入院時の同意でしたが、改正後は更新の度に家族等の同意を得る必要があります。

過去には家族の負担を軽減するために保護者制度が廃止されましたが、新たな制度で家族の負担が増えることにならないかすこし気になったところです。

【法改正前】当時の業務を振り返って

かつて勤務していた精神科病院では、退院支援委員会の一連の事務は精神保健福祉士が担っていました。

病院によってやり方は異なりますが、専門職の方のご参考になればと思い追記します。

まず家族への説明について印象的だったこと。

退院支援委員会という名称ゆえ、退院という言葉に敏感に反応するご家族についてです。

入院時には、退院後生活環境相談員に選任した旨や、退院支援委員会について本人と家族に説明します。

まれに、やっとの思いで入院に至った場合などは、いくぶん驚いた反応を示す家族もいました。

例えば、それまで自宅や施設で家族やスタッフの負担が大きかったり、個別の事情でなかなか入院先が決まらなかったりした場合などでした。

そのようなときも退院支援委員会の意義や退院に向けて相談員がついていることをていねいに説明し、家族の理解をできるだけ得られるよう努めていました。

次に病院職員との連携について。

病院内ではどの職種も多忙でした。

退院支援委員会について理解しているスタッフももちろんいますが、全員がそうとは限りません。

会議を形式的なものと捉える関係者もいました。以前はなかったものなので、昔のやり方に慣れている方にとっては無理もないことかもしれません。

精神保健福祉法で、退院後生活環境相談員は開催に向けた調整や運営の中心的役割を果たすこととされています。

万一、退院支援委員会を形式的な会議と思っているスタッフがいたとしても、精神保健福祉士が周囲にその理解を深めるくらいの気持ちを持っていいと思います。

会議の調整、開催の通知や審議記録作成など、開催運営に係る一連の事務は楽なものではありませんが、いずれも誰かがしなければならない大切な作業です。

患者さんが退院後、地域でその人らしい生活を送る準備段階として退院支援委員会が意義ある会議になればと思います。