駅前や大通りなどで路上販売されているストリートペーパー「ビッグイシュー日本版」は、ビッグイシュー日本という会社が月に2回発行している雑誌です。
じつは創刊まもない時期に縁があり、3年間大阪にてお手伝いさせていただいた経験があります。
以来、家族や友人たちとともに応援し続けています。
自分がビッグイシューについて知っているため、ビッグイシューについて全く知らない人、売っているのは知っているけど仕組みがよくわからない人たちにとってどのように映るのか気になります。
そんなまだビッグイシューについて知らない方たちに向けて、リピーターの1人として雑誌についてご紹介したいと思います。
ビッグイシュー日本の始まり
ビッグイシュー日本は2003年に設立したホームレス問題の解決を目的とする社会的企業です。
もしかすると「社会的企業」という言葉が耳慣れない方もいるかもしれません。
社会的企業とは、社会問題の解決を目的として事業を展開する会社のことをいいます。
ビッグイシューであればホームレス問題を課題としてその解決・改善に取り組んでいます。
その仕組みは、会社が発行する雑誌「ビッグイシュー日本版」をホームレス状態にある方が販売者として仕入れて販売することで、販売者には売上げの半分以上が入ります。
雑誌販売という仕事、働く場を提供することを通じてビッグイシューはホームレスの方の自立を応援しています。
2003年の創刊当時、世の中はすでにデジタル化の時代に突入しつつありました。
出版業界でもその影響が懸念されていたため、新しい雑誌を作るという試みは周囲から全く成功が期待されていなかったようです。
しかし、現在も活躍を続ける佐野代表と水越編集長が中心となりその意志をつらぬきビッグイシュー日本版の創刊に至りました。
セレブも表紙に!国際ネットワークで記事をシェア
じつはビッグイシューはロンドン生まれの国際的なストリートペーパーです。
ビッグイシューは1991年にジョン・バード氏によって創刊されました。
有名セレブやキャラクターなど、インパクトのある表紙が目に付いて雑誌が気になる方も多いのではないでしょうか。
このような表紙や国際記事が作れるのは国際ネットワークの存在があります。
世界中からビッグイシューと同じ仕組みのストリートペーパーがネットワークに参加し、国際記事をシェアしたり問題解決のノウハウを共有したりしています。
そのため、ほかの雑誌にはない良質な記事を載せることができるのです。
さらに時代の先をいくかのような独自な視点の日本版オリジナルの記事も、ほかでは読めない新鮮さとユニークさがあり毎回発見があります。
また人気連載コーナーの「ホームレス人生相談」は、料理研究家の枝元なほみさんの「悩みに効く料理」とともに本にもなっています。
販売者の方とのエピソード
数年前、精神保健福祉士通信課程の専門学校に往復3時間かけて通っていました。
そのとき学校近くで顔なじみの販売者の方に再会しました。
その方はビッグイシューの販売を続けており、元の持ち場が工事で販売ができなくなったため、期間限定で通学コースの一角を販売場所として立っておられました。
スクーリングの行き帰りに雑誌を購入したり立ち話をしたりしましたが、以前と変わらず頑張っておられる姿に国家試験を控えた私は大変励まされました。
ビッグイシューの販売は、屋外の立ち仕事で決して楽な仕事ではありません。
また販売者の方は雑誌が売れるように売り方やディスプレイなど工夫をされています。
最新号を高く掲げる方、バックナンバーもよく見えるように複数冊持つ方、声を出してアピールする方など工夫の仕方は人それぞれでした。
最近ではスタッフや販売者さんが全国の学校・団体に出向いて講義などをする出張授業も大変好評なんだそうです。
これからもビッグイシューを応援し続けたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
創刊当初よりビッグイシューの記事執筆をされているライター稗田和博さんの書籍です。ビッグイシューに関わった当時の若者としてインタビュー取材に協力させていただきました。