令和4年(2022年)の精神保健福祉法改正に伴い、入院者訪問支援事業が新設されました。令和6年(2024年)4月から実際に事業の運用が始まっています。
すでに運用を開始されていることから、精神保健福祉士国家試験に出題される可能性は大いにあります。改正の全体像については別記事で解説しましたが、今回は入院者訪問支援事業に的を絞りました。
こちらの記事は、精神保健福祉士国家試験を受験予定の方、すでに精神科関連の仕事についている方、メンタルヘルスに関心がある方に向けて、入院者訪問支援事業について理解していただくことを目的としています。
入院者訪問支援事業の目的
新たに創設された入院者訪問支援事業は、精神保健福祉法の第35条の2に規定されています。
事業の目的としては、市長同意入院等で精神科病院に入院している方に、外部との面会交流の機会を確保することにあります。そもそも市区町村長による入院は医療保護入院で、本人の意思によらない入院です。
通常の医療保護入院は家族等の同意によるものですが、市長同意入院等は同意者となる家族がいない場合などです。それにより患者本人の病院外との交流が途絶えやすくなりますが、それは人権擁護の観点からは望ましくないため、外部との交流機会の確保のために入院者訪問支援事業が創設されました。
具体的には、患者本人の希望に応じて訪問支援員が本人に面会します。訪問支援員は患者の生活に関する相談に応じ、患者の体験や気持ちの傾聴に加え、必要に応じて情報提供を行います。
入院者訪問支援事業の概要
入院者訪問支援事業は、令和6年4月1日施行の精神保健福祉法で新たに創設されました。
- 事業の実施主体: 都道府県、指定都市、特別区、保健所設置市
- 訪問支援の対象: 市区町村長による医療保護入院者のうち、支援を希望するもの
訪問支援員は国の標準化された研修を受講します。
ピアサポーターや市民などが想定され、必須資格の規定はありません。訪問支援員は患者本人の希望に応じて2人一組で面会します。
訪問支援員の役割
訪問支援員の役割の中心は、「傾聴と情報提供」です。
訪問支援員は患者本人の話を誠実かつ熱心に聴くほか、入院中の生活に関する相談に応じ、必要があれば情報提供をします。
患者の希望通りに訪問することは義務化されていません。また、希望者の費用負担はありません。
訪問支援員が患者の話を傾聴することにより、自尊心の低下を軽減し、権利擁護を図ることに事業の目的があります。
以上が入院者訪問支援事業の概要になります。
私自身、当初はやや懐疑的な見方をしていましたが、アドボケイトの機会の提供や、外部との接点の大切さなど、創設の背景を知ったことにより制度への理解が深まりました。
新設の入院者訪問支援事業を含め、改正後の精神保健福祉法解説はこちらの一冊が役立ちます。
